蒸留器　アランビックを用いた蒸留法

　アランビック蒸留器の原理

＊アランビック蒸留器は像の鼻のようなパイプが付いたハット（ヘッド）、蒸留する
　植物を入れるポット、蒸留した水蒸気を冷やして液体にする冷却槽（コンデンサー）
　から基本的には成り立っています。
　冷却槽の中の水は一般的には生ぬるい状態がベストと言われています。
＊水道水が使える場合は付属の冷却槽排水用チューブの排水量と同じくらいの水
　が出るように蛇口を調節します。
＊水道水が使えない場合はやかんなどに水を入れて水を排水量に合わせて注ぎ
　足します。
＊最も理想的な排水方法は屋外などで水道水を入れながら、排水用チューブを用
　いずに、熱くなった冷却槽内のお湯を溢れさせるほうが冷却槽内の水温は一定
　に保つことができ、より良い精油や芳香蒸留水を抽出することができます。
　

　アランビックを用いた蒸留法
　
　アランビックを用いた蒸留法はハーブの種類や部位などによって下記の2通りの方法があります。
　　
＊ハイドロ蒸留法
　植物の葉や花,特にバラの花弁など薄いものに向いた蒸留法で蒸留器の中にそれらを入れてから精製水、ミネラ
　ルウォーターなど（水道水は塩素を含むため好ましくない）を注いで蒸留する方法です。
　一般的に水を使用する浸出法（マセレーション）では植物の成分が十分に出る前に環境の温度によっては腐敗し
　たり、また殺菌されていないので長期間保存できませんが蒸留水は加熱沸騰、また銅イオンによる殺菌効果で
　冷蔵庫保管すれば１年以上保存することがます。また、単に沸かしたものとは異なり、蒸留したものは芳香成分
　や有効成分が濃縮され、より香りが強くなり、腐ったような植物臭がありません（ステンレス製やガラス製の蒸留器では
　この植物臭が出ます）。
　ハイドロ蒸留による蒸留水（芳香蒸留水/ハイドロゾル）は最初に抽出される蒸留水が最も上質で次第に質が低下
　します。pHメーターで測定しながら品質を測定することもできます。（蒸留水はリトマス試験紙ではｐＨは測定できません）
　一般的ですが酸性が強いもの程「上質」と言われています。

＊スティーム蒸留法
　植物（ラベンダー・月桃・月桂樹・ローズマリー）などの茎、種子、根、幹、木の皮、チップなどの素材にはスティーム蒸留法が
　用いられます。カラムタイプの蒸留器を用いるか、普通の蒸留器の場合はポットの中に数本の脚（別売りの銅製コイル）
　を立てます。素材は銅、真鍮が適しています。脚（銅製コイル）の上にふかし布などを入れて植物が直接水の中に入
　らないようにします。脚（銅製コイル）の長さは入れる水の水位と同じ位に調節します。蒸留水の質はハイドロ蒸留法
　と同じで最初に蒸留された蒸留水（芳香蒸留水/ハイドロゾル）ほど「上質」です。
　